里山林伐採後の樹木根による土壌補強強度の変化

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  • サトヤマリン バッサイ ゴ ノ ジュモク コン ニ ヨル ドジョウ ホキョウ キョウド ノ ヘンカ

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燃料革命によって里山林は放置され,高齢木化かつ大径木化が進んでいる。高齢木化した里山林構成種の萌芽更新能力を調べたところ,里山林で普通にみられるコナラで特に低下しており,樹齢60年の萌芽更新の可能性は3割程度であった。次に,大径木化したコナラ伐採後の萌芽更新過程において,伐採前から伐採3年後までの樹木根の本数と物理的強さの変化を調べ,樹木根による土壌補強強度を計算し,斜面の安定性(安全率)を評価した。伐採直後から,伐り株からの萌芽枝は順調に成長する一方で,樹木根の本数の減少と引き抜き抵抗力の低下がみられ,地上部と地下部で異なる動態を示した。安全率は徐々に低下する傾向を示し,伐採前の安全率が1.24に対して伐採3年後には1.14と有意に低下した。萌芽更新しない枯死個体ではさらに安全率が低下し,伐採3年後には1前後となり,降雨により地下水位が上昇すると,森林斜面は不安定となり表層崩壊が発生する可能性が示された。大径木化したコナラの伐採は,倒木による危険を回避出来る一方で,安全率を低下させる。この伐採更新時の安全率低下を防ぐため,本研究では,引き抜き抵抗力の大きい低木種を活用した森林管理を新たに提案した。

Journal

  • 水利科学

    水利科学 66 (4), 1-17, 2022-10

    東京 : 日本治山治水協会

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