河川における維持流量設定の課題 : 維持流量から環境流量への展開を考える

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  • カセン ニ オケル イジ リュウリョウ セッテイ ノ カダイ : イジ リュウリョウ カラ カンキョウ リュウリョウ エ ノ テンカイ オ カンガエル

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維持流量の課題を整理し,環境流量への展開について検討した。維持流最の設定手法は3通りある。発電ガイドラインに基づく維持流量は,早急な環境改善に貢献したが暫定的なものである。ダムの弾力的管理に基づく維持流量は,運用で流量を捻出するため,基本的な設定手法とはならない。正常流量に基づく維持流量は算定項目が10あり,1級河川の95%は動植物が決め手項目となっている。この,動植物の殆どは魚類の産卵又は移動に必要な流速,水深から算出されるが,魚の生活史は産卵と移動だけで完結するものではない。この場合の正常流量は,渇水時に移動又は産卵に必要な最低流量を基に算出されていることから,日本語として適切ではない。評価手法の改良や開発,河川生態系の知見集積も進み,保全のため環境流量が新たに提唱されるなど,再検討を行うべき機は熟しつつある。現行の算出方法は合理的とは言い難いことから,環境流量の検討を始めるため委員会を設置することが望まれる。

Journal

  • 水利科学

    水利科学 66 (6), 64-82, 2023-02

    東京 : 日本治山治水協会

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