ヤツガタケトウヒの木材特性:繊維傾斜角、仮道管長、ミクロフィブリル傾角、木材密度、および収縮率の樹幹内変動

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タイトル別名
  • Wood properties of Picea koyamae: within-tree variation of grain angle, tracheid length, microfibril angle, wood density and shrinkage

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絶滅危惧種ヤツガタケトウヒの天然木において、物理的性質に影響を及ぼす木材特性である繊維傾斜角、仮道管長、晩材のミクロフィブリル傾角(MFA)、密度、年輪構造および収縮率の樹幹内変動を調べた。樹幹内側の木理はSらせんで、繊維傾斜角の4方位平均値は、5-9年輪目で最大値4°-6°になった後に、樹皮に向かって緩やかに減少した。晩材の仮道管長は、0.86-4.95mmで、髄から外側にむかって増加した。晩材のMFAは、2.2°-42.0°で、髄付近で大きく、10年輪目まで急減した後、徐々に減少し、ほぼ一定になった。平均密度は、髄から10年輪目まで急減した後、年輪間変動を伴ってほぼ一定であり、晩材率および早材密度との間に高い相関を示した。樹幹内側では樹幹外側に比べて、軸方向収縮率が大きく、横断面収縮率が小さかった。樹幹内外における収縮率の違いは、MFAの影響を受けていると考えられた。樹幹内側では、繊維傾斜角とMFAおよびそれらの材内変動が大きいために狂いが大きいが、樹幹外側では、繊維傾斜角とMFAおよびそれらの材内変動が小さいために、狂いが小さいと考えられた。これらの木材特性の樹幹内変動傾向および特性値は、他のトウヒ属とほぼ同じであったことから、ヤツガタケトウヒの木材を、他のトウヒ属と同様に利用することができると考えられた。

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