三国時代の正統理論について

書誌事項

タイトル別名
  • サンゴク ジダイ ノ セイトウ リロン ニツイテ
  • A Study on the Theory of the Orthodoxy of the Dynasty in the Three Kingdoms Period

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説明

『三国志』は、三国時代の各国の正統論について、以下のような理念を提示している。1. 曹魏(以下「魏」と表記):「漢堯後火徳論」を継承した「魏舜後土徳論」と、「一姓一王朝『一紀二百七十年』論」。2.蜀漢(以下「漢」と表記):後漢と同様の「漢堯後火徳説」。3.孫呉(以下「呉」と表記:多くの瑞祥の出現。これらの正統論のうち、最大の国力を誇った曹魏の正統論である「魏舜後土徳説」と「一紀二百七十年論」が、以後の正統論の主流を占めるに至ったことは必然といえよう。換言すれば、『漢書』において後漢の正統性を証明する理念であった「漢堯後火徳説」を嚆矢とする「魏舜後土徳説」と、それに「一紀二百七十年」という紀元を設定した新たな正統論が、三国以後の正統論を「合理的」なものにするとともに、それに「ひな形」を提供するにいたった蓋然性は大きいといえる。

収録刊行物

  • 東洋研究

    東洋研究 139 57-83, 2001-01-25

    大東文化大学東洋研究所

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