「義務教育未修了者」とは誰か― 2020 年国勢調査における最終卒業学校調査結果の分析を中心に ―

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  • Who Are“ Non-Compulsory School Leavers”? :Focusing on an Analysis of the Results of the Last Graduating School Survey in the 2020 Census

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本論文では、2020 年に実施された国勢調査における最終卒業学校に関する調査結果を中心に、「義務教育未修了者」とは誰か、という問題について考察した。同調査では、小学校を卒業していない「未就学」の者が9 万4455 人、最終卒業学校が「小学校」の者が80 万4293 人に上り、「義務教育未修了者」が約90 万人存在することが明らかになり、社会的注目を集めた。とりわけ、「義務教育未修了者」が学ぶことのできる夜間中学の設置・拡充が社会的課題となる中で、各地で本調査結果を活用しながら、「義務教育未修了者」を掘り起こし、夜間中学等での教育機会保障に結びつけていくことが期待されている。  他方で、「義務教育未修了者」の定義は定まっていない。その背景には、戦前の旧学制では概ね6 年間が義務教育の期間であったこと、旧植民地において義務教育制度が施行されていなかったこと、戦後も文部省が外国人は就学義務の対象外であると解釈してきたこと等、様々な問題が絡まりあっている。  本論文では、「義務教育未修了者」概念が登場した文脈をたどり直し、1970 年代以降に夜間中学関係者らの問題提起によって、中学校を卒業しないまま学齢を超えた人々を指す言葉として普及していった過程と、その推計の取組みについて明らかにした。加えて、夜間中学の現場では旧学制対象者や外国籍者も含み得る形で、「義務教育未修了者」概念を柔軟に解釈してきたことを指摘した。

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