コミュニケーション能力,ストレス対処,意欲の関連
説明
本研究の目的は,コミュニケーション能力,コミュニケーションストレスへの対処(ストレスコーピング),そしてコミュニケーションの意欲の関連を明らかにすることである.まずコミュニケーション能力の高低とコミュニケーションでストレスを感じる頻度に関連はないとの仮説を設定し,その検証を試みた.次に⑴コミュニケーションでストレスを感じたときどのような対処を選択するか,⑵選択した対処方略とコミュニケーションの意欲に関連はあるか,⑶コミュニケーション能力の高低とストレス対処方略の選択に関連があるかを明らかにすることを試みた. 質問紙調査の分析結果から,コミュニケーション能力の高低とコミュニケーションでストレスを感じる頻度に関連がないことは実証できなかったが,コミュニケーション能力が高くても必ずしも避けることのできないストレスがあることが明らかになった.またストレスを感じる頻度が増えると,相手との友好的な関係の維持や発展を放棄する対処の選択が増えることが見出された.コミュニケーション能力の影響を取り除くと,このような対処を選択している人たちはコミュニケーションに対しても否定的態度を持つ一方で,問題の原因を探り解決方法を考えるという対処や状況を前向きに捉えるという対処方略を多く使う人たちは,肯定的態度を持つことが示された.またコミュニケーション能力が高い場合は関係放棄という対処の選択は減り,問題解決や前向きに捉える対処を用いる傾向があることも明らかになった.これらの結果から,コミュニケーションの意欲を維持できるかどうかは,コミュニケーション能力とストレスに対する有効な対処の影響のもとにあることが示唆された.
収録刊行物
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- 札幌市立大学研究論文集
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札幌市立大学研究論文集 3 (1), 35-44, 2009-03-31
札幌市立大学
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050282676638960000
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- NII論文ID
- 120005593288
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- ISSN
- 18819427
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB
- CiNii Articles