手技療法による骨格筋血流変化の定量評価 : 拡散相関分光法による検討

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タイトル別名
  • Quantitative evaluation of skeletal muscle blood flow by diffuse correlation spectroscopy : application to manipulative therapy
  • シュギ リョウホウ ニ ヨル コッカクキン ケツリュウ ヘンカ ノ テイリョウ ヒョウカ : カクサン ソウカン ブンコウホウ ニ ヨル ケントウ

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説明

手技療法は様々な医療の分野での治療の目的として運動器へ適用されている代表的な治療法である。手技療法は局所血流を増加させ,浮腫および疼痛を減少させるという仮定のもとに適用されているが,科学的な根拠に基づく計測方法や評価方法が確立されていない。本研究では,近年開発が進んでいる血流光計測技術である拡散相関分光法(diffuse correlation spectroscopy: DCS)を用いて,手技療法前後の局所筋血流の変化を非侵襲的かつ定量的に評価することを目的とした。健康な被験者(男性3名/女性3名,年齢:22.5±0.7歳)がこの研究に参加した。股関節を屈曲するために被験者は施術ベッドで背臥位とした。始めに疼痛が誘発されるまで股関節を最大屈曲させ,股関節屈曲角度と主観的疼痛感(visual analog scale: VAS)を計測した(Pre屈曲時)。続いて,腹臥位になり安静時5分間の大腿部後面の血流を計測した(Pre安静)。その後,5分間の手技療法を行い,手技療法後に再び大腿部後面の血流を計測した(Post安静)。最後に背臥位の状態でPre屈曲時と同角度まで股関節を屈曲した際のVAS値を再度計測した(Post屈曲時)。被験者は,2回の股関節屈曲の間に手技療法を行う手技療法条件と,手技療法を行わず腹臥位で安静とする対照条件の2試行をランダムな順序で行った。その結果,Post屈曲時のVAS値はPre屈曲時に比べて手技療法条件のみに減少傾向が確認された(p=0.08)が,対照条件では変化はみられなかった(p=0.41)。さらに,手技療法条件ではPre安静時に比べてPost安静時において筋血流速度の有意な増加がみられた(p<0.05)。このことは,手技療法による皮膚や筋組織への機械的な圧力が身体への静脈還流を促進し,組織血流の増加が引き起こされたことを示している。

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