若者の地域間移動の傾向と要因 : 都道府県データでみる大学進学・初職就職時の地域間移動

説明

本稿では、東京一極集中などを踏まえ、人口偏在を生じさせる若者の地域間移動について、大学進学、初職就職時における地元定着に着目し、その要因となる地域属性の差異から地方政策の含意を得る。そのため、若者の地元残留や残留・Uターン希望に係る変数を従属変数とし、独立変数を「教育環境要因」、「経済的環境要因」、「アメニティ要因」に区分した実証分析を行った。その結果、教育投資が多い都道府県ほど若者は地元外へ出て行くことや、初職就職時には非正規割合といった具体的な雇用条件が地域間移動に影響している一方で、大学進学時では漠然とした将来の就業機会への期待や不安の影響が見られるに止まっており、若者の職業観の醸成や労働者教育の課題の一端が示唆された。このほか、コンビニエンスストア数やスマートフォン所有数量が若者の地元残留傾向に有意な正の因果関係示すなど、若者の生活様式の変容という意味で示唆的な結果が得られた。

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