フィクション映画を用いた演習による社会学的思考の醸成についての考察

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タイトル別名
  • Consideration on the Development of Sociological Thoughts by a Seminar Using a Fiction Movie
  • フィクション エイガ オ モチイタ エンシュウ ニ ヨル シャカイガクテキ シコウ ノ ジョウセイ ニ ツイテ ノ コウサツ

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抄録

本稿では, 社会学演習においてテーマの共有と議論展開に資すると考えられるフィクション映画について, その社会学的想像力の喚起と, それに基づく社会学的思考の醸成への有用性に関し考察した. まずフィクション映画が, 把握が比較的容易な作品内の現実, 日常と社会構造との繋がりの理解, また社会学的想像力を用いることそのもののモデルとなりうることといった点を提示した. そして演習への導入に際し, まずは映画評論の分析視点を概観し, 一方で社会学的分析を①製作者の主観的構成とする視点, ②社会的言説が交錯する場とする視点, ③作品外部の現実と内部の閉じた物語の円環との関係操作とする視点に整理, これらとの関わりについて考察した. その上でこうした分析手法が, 社会的テーマの共有理解, 社会現象への多角的な分析視点の理解と応用(社会学的想像力の育成), テーマの分析・解釈説明における論理の組み立て(社会学的思考のプロセス) といった, 演習に求められる課題に有効であることを示した. 最後に, 「物語る」手段としての映画が, 私語りから出発する社会学的想像力に親和的であることについて改めて指摘した.

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