論証の「厳密さ」に対する大学新入生の意識を向上させるには

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タイトル別名
  • How can freshmen's awareness of "clarity" of argumentation be enhanced?
  • ロンショウ ノ ゲンミツ サ ニ タイスル ダイガク シンニュウセイ ノ イシキ オ コウジョウ サセル ニワ

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抄録

ライティング・コースを受講した学部一年生の作文とその自己訂正過程において観察された論文形成スキーマ形成上のさまざまな問題点から、特に<論証の厳密さ>に焦点をあて、その問題点と改善法を考察した。学生の主張と示された根拠の間にしばしば飛躍が見られるが、この根本には、読者の推論への過剰依存があると考えられる。指導を受けた後の修正では、根拠の述べ方ではなく主張そのものを変更する傾向が見られる。これは、議論の手続きという「プロセス」ではなく、結論の成否という「結果」のみに関心が向いている表れと捉えられ、「唯一の正解を速やかに発見する」という学習方略の影響が窺われる。論証における厳密さを形成するには、文脈依存的ディスコースと脱文脈的ディスコースの違いを意識させることと、「正解志向」の学習ストラテジーからの脱却を促し、ピアとの活動などによって「考えるプロセス」への関心を高める必要があることが示唆される。

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