副腎腫瘍との鑑別が困難であった成人腎芽腫の1例

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タイトル別名
  • Adult Wilms' tumor mimicking adrenal tumor: a case report
  • フクジン シュヨウ トノ カンベツ ガ コンナン デ アッタ セイジン ジンガシュ ノ 1レイ

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抄録

33歳女。患者は右後腹膜腫瘤の精査加療を主訴とした。血管造影検査では右腎頭側の腫瘍への血管は中副腎動脈と下副腎動脈をfeederとしており, 副腎由来の腫瘍が疑われた。腎実質との交通はほとんど認めず, Hypovascularな腫瘍で, 造影剤の腫瘤部へのpoolingも軽度であった。非機能性副腎腫瘍と考え, 悪性病変も否定できないため手術を施行し, 右腎と一塊に摘出した。その結果, 病理組織学的所見では腎頭側部の腫瘍を主体としてhyperchromaticな核を有し, N/C比の高い充実性増殖が認められ, 一部はロゼット様, あるいは腺管構造を示していた。更に紡錘形の間葉系細胞様の分化や, 核の偏在傾向を示すrhabdoid tumorも含まれていた。また, 線維化, 硝子化, 石灰化, 骨化等, 多彩な病変を伴っていた。以上より, 本症例は成人腎芽腫と診断され, National Wilms' Tumor Study分類病期II・Unfavorable Histology群に相当したため, 再入院の上, 化学療法を施行したが副作用が強く中止となった。目下, 術後17ヵ月が経過しているが, 再発は認められていない。

収録刊行物

  • 泌尿器科紀要

    泌尿器科紀要 54 (9), 603-606, 2008-09

    泌尿器科紀要刊行会

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