インドネシア・グントール火山における最近の火山活動の評価

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  • Evaluation of the Recent Activity at Guntur Volcano, West Java, Indonesia
  • インドネシア グントール カザン ニ オケル サイキン ノ カザン カツドウ ノ ヒョウカ

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抄録

インドネシア・ジャワ島西部にあるGuntur火山では, 最近約150年間噴火が発生していないが, 火山性地震の活動は活発であり, 山頂付近と西部のKamojangカルデラ付近に火山性地震が分布する。Kamojangカルデラ付近の地震は, 北東から南西方向に直線状に分布し, 震源の深さは5-10kmである。発震機構は南北伸張, 東西圧縮となる横ずれ型のメカニズム解となる。一方, 山頂付近の地震は, 火山列に沿って北西-南東方向に分布し, 震源の深さは5km以下と浅い。マグニチュードも1以下と小さい。正断層または逆断層型の発震機構をもつ。1997年5月から山頂直下の深さ2-5kmにおいて火山性地震の発生頻度が増加したが, 5月29日, 10月7, 8日のように発生頻度が高いときはすべて逆断層型となる。一方, 山頂の南2kmに設置された傾斜計により, 地震活動の活発化と同期して山頂方向の地盤の隆起が観測された。山頂方向の地盤の隆起現象は, 南東山麓の水準測量によっても確認されている。これらのことから, 1997年5月以降の地震活動は, 山頂部の火山列に沿う断層において発生している。また, 火口直下で圧力の増加があり, 圧力源の直上の地盤が押し上げられ, その結果として逆断層型の地震が発生したと解釈される。1997年5月-11月の地震活動度を1991年以降の地震活動の推移の中で評価してみた。地震活動の活発化は1992年5月-7月, 1993年5月-8月にもみられる。この3期間の活動の増加に共通してみられることは, 主として山頂直下において地震が多発したこと, また, Kamojangカルデラ周辺で活動が活発化したことである。1997年5月-11月における山頂直下での地震の放出エネルギーは1992年と1993年の活動と同程度であり, 今回の活動はGuntur火山において, 1-数年の間隔で繰り返される10^15-10^16ergの規模のエネルギーの放出を伴う地震活動の活発化の1つであるといえる。

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