習慣形成, 年金システムおよび動学安定性

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タイトル別名
  • シュウカン ケイセイ ネンキン システム オヨビ ドウガク アンテイセイ
  • Dynamic Stability and Pension System in an Overlapping Generations Model with "Bequeathed" Habit Formation

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抄録

本稿はdela Croix[1996]が提示した世代間の消費の習慣形成モデルに賦課方式の年金システムを導入し, 次のことを明らかにする。(1)最も単純な世代重複モデルのもとでは, 経済厚生を改善するための手段の一つとして年金システムが導入される。ところが消費の習慣形成が存在するような経済において, 年金システムの導入または拡充は, ある条件の下でマクロ経済を不安定化させる。(2)よって, 老年世代の年金給付を手厚くするために, 勤労世代に対して高い税率を課せば課すほど, マクロ経済の不安定化が一層引き起こされる。(3)しかし政府がGolden Ruleを達成するように年金負担率を設定すると, 定常状態の近傍は常に安定である。(4)Golden Ruleを達成するために政府の設定する年金負担率は, 習慣形成がないケースに比べて少なくて済む。

収録刊行物

  • 経済学雑誌

    経済学雑誌 107 (1), 31-50, 2006-06

    大阪市立大学経済学会

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