患者会のコミュニティ・エンパワメントの可能性と課題 : 乳がん患者会における「病いの語り」の分析から

書誌事項

タイトル別名
  • カンジャカイ ノ コミュニティ エンパワメント ノ カノウセイ ト カダイ ニュウガン カンジャカイ ニオケル ヤマイ ノ カタリ ノ ブンセキ カラ
  • Potentials and Problems of Community Empowerment of Patient Groups : An Analysis of Illness-Narratives in a Breast Cancer Patient Group

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説明

1. はじめに : 医療に関わる制度や環境が大きく変化する中で、日本の病院界では経営戦略のひとつとして、医師と患者の関係の「改善」に向けた関係性(リレーションシップ)マネジメントが導入されつつある。濵井・川村によれば、こうした取り組みは、「顧客満足」向上のための企業と顧客との関係性マネジメント(企業-顧客型関係性マネジメント)の理論と実践を原型としており、そこでは企業と顧客は対等でコミュニケーションが可能な存在であることが前提とされている(演井・川村、2004 : p.241)。一方、病院における伝統的な医師と患者の関係は、医師の権力的優位性と、両者のコミュニケーションの困難さを特徴とする。このため、病院への企業-顧客型関係性マネジメントの導入は、患者の無力化など、医療サービスの伝統的弊害の一部を改善し、医療サービスの提供過程に、患者がより能動的に関与できるようにする可能性をもつが、同時に、自己決定・自己責任原則の、医師・病院にとって都合の良い形での「押しつけ」など、医師・病院による患者の新たな支配や抑圧を生む危険性もはらんでいる(演井・川村、2004 : p.254)。……

収録刊行物

  • 経営研究

    経営研究 56 (2), 105-124, 2005-07

    大阪市立大学経営学会

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