中世における『論語』古写本の声点について

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タイトル別名
  • A study on tone marks of Medieval“Lunyu( 論語; the Discourses of Confucius)”
  • チュウセイ ニオケル ロンゴ コシャホン ノ ショウテン ニツイテ

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抄録

本稿は、中世に書写された5種類の『論語』古写本に記入された字音声点について考察したものである。まず『論語』各本と『広韻』との対応関係を調査したところ、おしなべて日本漢音の体系に沿ったものであるという共通項があるほか、いずれの本にあっても上声全濁字の去声字が相当程度進んでいるという傾向が見出せた。次に、各本の同じ箇所に記入された声点にどのような違いがあるか調査したところ、偶発的な相違と考えられるものが存 する一方で、合理的な理由が想定されるものも少なくなかった。このことから、『論語』の漢字音とは『本朝文粋』 のそれと比べて規範的である様が見て取れる。ただし、特定の本の声調が取り立てて規範的であるというような傾向はなく、その点では、筆者がかつて指摘した『論語』各本の漢字音全般の傾向に沿っていると言うことができる。

弘前大学教育学部紀要. 105, 2011, p.1-8

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