<Report> The Difference between Stochastic Effects and Tissue Reactions in the Radiological Protection System

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  • <報告>放射線影響における確率的影響と組織反応の関係

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[概要]ICRPは、2007年に放射線防護システムのための勧告を発行した(ICRP Publication103以下、Pub103)。そこでは、放射線被ばくによって発現する影響を確率的影響(Stochastic Effects)と組織反応(Tissue Reactions)に分けている。組織反応は確定的影響と呼ばれていたが、Pub103から、組織反応と呼ばれることになった。即ち、がんは確率的影響、がん以外(非がん影響)は組織反応と呼ばれることになった。そして、がんに関する放射線影響(遺伝的影響を含む)には、被ばくに起因する健康影響を定量するために、損害(Detriment)に関する概念がPublication60から使われている。この損害は、低線量・低線量率領域の被ばくを対象として使われている。組織反応は、従来、低線量・低線量率領域では起こらないとされていたため、損害の概念は使われていない。組織反応に関する文書(ICRP、2011)がPub103の後に出され、「特定された組織や器官反応の1%の発生率をもたらす量をしきい値として定義」するとした。そして、この文書を受けて出されたICRPステートメント(ICRP、2011)で、目の水晶体の吸収線量のしきい値を0.5Gyとした。組織反応に関する文書ドラフトは、2012年にICRPの正式文書ICRP Pub118として発刊された(ICRP、2012)。ICRPは、現行の勧告(Publication103)の次となる勧告の議論を始めている。現行の勧告に大きな問題点は無いとしていて、具体的な論点の行方はまだ明確ではないが(宮崎、2018)、一つの重要な論点が、意見募集の文書(ICRP、2018)の中で、実効線量と吸収線量の取り扱いとして出された。それは、「組織反応を防ぐために、組織/臓器線量の限度設定に使うのは吸収線量が適切である」の部分である。ICRP Publication 118(ICRP、2012)によって、組織反応が、それまでより低線量の領域で起こる可能性が示唆されたことと関連して、確率的影響との違いを明確にする必要が出てきていると考えられる。

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