半年間で嚢胞壁肥厚を呈した仮性腸間膜嚢胞の1切除例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Extirpation of a Pseudo Mesenteric Cyst Which Developed a Cyst Wall Hypertrophy Within a Six Month Period.
  • ハントシカン デ ノウホウヘキ ヒコウ オ テイシタ カセイ チョウカンマク ノウホウ ノ 1セツジョレイ

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抄録

type:Departmental Bulletin Paper

成人の仮性腸間膜嚢胞の1切除例を経験したので報告する.症例は60歳代,男性.腹部違和感を主訴に,前医を受診した.腹部超音波検査で,腹部臍左側に長径約5 cmの腫瘤を認めた.腹部単純CT検査で長径約6 cmの単房性で均一な嚢胞状腫瘤を認め,当科紹介受診された.腹部単純CT検査で嚢胞壁に肥厚や明らかな壁在結節は認めず,嚢胞内に充実成分もなかったため,経過観察となった.症状は認めず経過し,約半年間後の再診時に腹部造影CT検査で嚢胞壁に肥厚を認めた.腹部MRI検査で,小腸間膜内の腫瘤内部はT1強調画像,T2強調画像で共に高信号であり,脂肪抑制画像で低信号を呈した.血液生化学検査でCEA,CA19-9の上昇を認めなかった.以上より小腸間膜嚢胞と診断し,小腸間膜腫瘤摘出術を行った.腹腔鏡で腹腔内を観察したところ,腫瘤は小腸間膜内に存在し,周囲との癒着は認めず,可動性良好であった.腫瘤は長径約6 cmで全体に発赤を伴い,弾性軟であった.小腸を温存し,腸間膜の一部とともに腫瘤を切除した.病理組織学的検査で,上皮性成分は認めず,仮性腸間膜嚢胞と診断した.経過良好で術後9日目に退院となった.稀な仮性腸間膜嚢胞に対して,切除した症例を経験したので報告する.

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