新規公開市場のアンダープライシングと景気循環の関係 -隠れマルコフモデルによる分析-

書誌事項

タイトル別名
  • シンキ コウカイ シジョウ ノ アンダープライシング ト ケイキ ジュンカン ノ カンケイ : カクレ マルコフモデル ニ ヨル ブンセキ
  • The Relationship of Underpricing in IPO Market and Business Cycle-Analysis by Hidden Markov Model

この論文をさがす

抄録

本論では,1998 年から2012 年の日本の新興市場を分析対象とし,新規公開市場(IPO)で発生しているアンダープライシングの原因とその変動要因に関して,分析を行った。アンダープライシングは,その程度が時期によって変動することが指摘される一方,企業のガバナンス構造などによって引き起こされることが明らかになっている。 本論文では,隠れマルコフモデル(HMM)による分析を行い,IPO におけるアンダープライシングが,複数の状態を移行する現象が観測されることを確認した。そのうえで,景気循環的要因と個別企業のガバナンス構造・財務状況等を考慮した,線形回帰分析を行い,景気の先行指数の動向とアンダープライシングの変動とに関係性があることを明らかにした。 しかし景気循環的要因だけでは,アンダープライシングの動きは説明できず,個別企業の要因も重要であることが明らかとなった。そしてベンチャーキャピタル(VC)持株比率が大きく,また資産規模が大きい,あるいは自己資本比率が高いほど,アンダープライシングの度合いが小さくなることが判明した。これはVC がつくことで,情報の非対称性が緩和されて,アンダープライシングが小さくなった可能性があることを示唆する結果となっている。

Article

論説

収録刊行物

  • 商経論叢

    商経論叢 51 (1), 49-68, 2015-10-15

    神奈川大学経済学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ