Terrestrial crustaceans from Shiga Prefecture, central Japan

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  • 滋賀県の陸産等脚目甲殻類

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抄録

従来、滋賀県においては等脚目を初めとする大型陸産甲殻類は殆ど調べられていなかった。この度、滋賀県生きもの総合調査委員会からの依頼で、土壌動物相の調査が京大名誉教授渡辺弘之氏を中心に行われ、その一環として筆者が産甲殻類を担当し、2009年7月に調査した。今回の主要調査対象地域は多賀町河内の河内風穴、東近江市永源寺町神津畑、甲賀市土山町前野瀧樹神社、高島市マキノ西浜湿原の4ヶ所であったが、高島市海津大崎、余呉町川並についても調査した。筆者は 同年10月に単独で高島市今津町北仰今津浜および市北生見、大津市北比良および今堅田、草津市下物町烏丸半島、近江八幡市長命寺山麓および小田が浜、安土町安土山麓、彦根市荒神山麓、長浜市早崎町、木之本町山梨子、西浅井町沓掛などを調査した。また、他に渡辺弘之氏、江波義 氏、南谷 氏、佐藤英文氏採集の標本も調査した。更に西川喜朗氏、渡辺弘之氏、野村周平氏ら採集の滋賀県産の富山市科学博物館所蔵標本を調査した。調査の結果滋賀県のから11種の等脚類、1種の端脚類、1種のカニ類を確認した。そのうち、等脚類の2種を新種として記載した。1種目はMongoloniscus oumiensis、 〔和名:オウミサトワラジムシ〕として記載したもので、南九州にから知られているMongoloniscus satsumaensisと類似するが(1)第2-4胸部体節の剛毛が体縁からより遠い位置にあること(2)第一小顎外葉のすべての歯に切れ込みが無いこと(3)雄第二腹肢内肢が短いこと、 (4) 生殖突起先端が尖っていることより区別される。2種目はAgnara  biwakoensis〔和名:ココクノワラジムシ〕として記載されたもので、石川県羽咋市から記録されているAgnara pannosusと類似するが(1) 雄第一腹肢外肢外縁に凹凸が無いこと、(2) 第一触角の感覚剛毛数が多いこと、(3)l第一小顎外葉に鋸歯があること、 (4) 第一小顎内葉に小さな突起があること、(5)雄第二腹肢外肢外縁のとげの数が多いことで区別される。2種の新種のホロタイプは富山市科学博物館におかれ、パラタイプは滋賀県立琵琶湖博物館、大阪市立自然史博物館、北九州市立歴史・自然史博物館ならびに国立科学博物館に保管される。

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