Adam Style in English Country Houses : Function and Decoration in the Georgian Era

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  • イギリス・カントリー・ハウスにおけるアダム様式 : ジョージア朝の機能と装飾

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P(論文)

本論は、貴族の荘園に端を発するイギリスのカントリー・ハウスの歴史を踏まえ、新古典主義の時代に隆盛となった「アダム様式」の特色と、この様式がいかに建築における装飾の重要性を高めたか、そしてそれがいかに重要な貢献であったかを論じるものである。第1章では、アダム様式の特色を述べ、スコットランド出身の建築家および室内装飾家であるロバート・アダム(1728-98)のグランド・ツアーがどのように彼の作品に現れているかを考察する。第2章では、カントリー・ハウス史における書斎の出現から発展までを述べ、イギリス貴族の子弟たちがグランド・ツアーで得た骨とう品をいかに陳列し、カントリー・ハウスのコレクションとして重要視したかを論じる。ロバート・アダムがカントリー・ハウス改装とともにその陳列を担った事例を考察する。第3章ではカントリー・ハウスのプランニングの変化に注目し、ロバート・アダムおよび弟のジェームズの建築理論の貢献について論じる。その際、アダムの自己宣伝的出版物であるthe Works in Architecture of Robert and James Adam 『アダム兄弟の建築理論』の序文を手掛かりとする。第4章では、カントリー・ハウスの住人たちの交通手段の変化に伴い、18世紀には社交生活が多様化し、特にドローイング・ルームが女性にとって重要な部屋として確立したことを確認する。その結果、ドローイング・ルームは女性のための部屋として、ダイニング・ルームや書斎は男性用に装飾されたこと、そしてアダムがこの種の装飾を得意としたことについて論じる。18世紀にアダム様式が担った装飾と機能の連動は、次世代のアーツ・アンド・クラフツ運動につながっていく。そのため、ロバート・アダムは、古典主義の要素を保持しながら、イギリス建築史において革新的な役割を果たしたと言えるのである。

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