不正行為による対決権喪失の理論
書誌事項
- タイトル別名
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- The Rule of Forfeiture by Wrongdoing
抄録
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合衆国最高裁判所は,2004年のCrawford v. Washingtonにおいて,合衆国憲法第6修正の対決権条項の保障が及ぶ「証言としての性格を有する供述」について,原供述者が証言利用不能にかかり,かつ,被告人に事前の反対尋問の機会が与えられていた場合でない限り,これを証拠に許容することはできないという厳格な基準を設定した。しかし,その一方で,被告人が不正に証人の証言を妨げた場合には,被告人は対決権を喪失するという「不正行為による対決権喪失の理論」は,Crawfordのこの新しい基準とも一貫するものであるということも認めた。さらに,2008年のGiles v. Californiaにおいては,被告人が不正に証人の証言を妨げたというためには,「不正行為による伝聞法則に基づく異議申立をする権利の喪失」について定める連邦証拠規則804条⒝項⑹号と同様,被告人に証人の証言を妨げる具体的な意図のあったことが必要であるとされた。このように,「不正行為による対決権喪失の理論」は,Crawford以降も維持されるものであることが確認され,その具体的な内容についても,合衆国最高裁判所により判断されるにいたったが,アメリカにおいては,その理論や要件について,様々な議論が行われている。本稿では,「不正行為による対決権喪失の理論」に関する合衆国最高裁判所の先例を概観し,「不正行為による対決権喪失の理論」及び「不正行為による伝聞法則に基づく異議申立をする権利の喪失」ルールについて最も争いがあると思われる信用性要件の要否とその妥当性について検討する。
収録刊行物
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- 比較法雑誌
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比較法雑誌 48 (3), 255-276, 2014-12-30
日本比較法研究所
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050282677674719872
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- ISSN
- 00104116
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB