The Constitutionality of Cross-Examination through the Use of a Screen and Closed-Circuit Television

Bibliographic Information

Other Title
  • 遮へい措置及びビデオリンク方式を用いた証人尋問の合憲性

Search this article

Description

わが国では,2000年,証人が法廷で証言することから受ける精神的負担を軽減するため,証人尋問において,遮へい措置又はビデオリンク方式を用いることを認める規定が新たに定められた。アメリカにおいても,わが国に先んじて,これらの措置を用いた証人尋問が許容されてきたが,わが国の証人審問権の規定が参照したとされる合衆国憲法第6修正の対決権条項との関係で,その合憲性が争われてきた。代表的な事案であるCoy v. IowaとMaryland v. Craigでは,このように被告人と証人との面と向かっての対決を否定する措置をとり得る基準が示された。  CoyとCraigは,対決権条項の判断枠組みについて,1980年のOhio v. Robertsの影響下で判断されたものであった。ところが,合衆国最高裁判所は,2004年のCrawford v. Washingtonにおいて,Robertsを変更して新たな判断枠組みを示した。このことから,アメリカでは,CoyとCraigの示した基準が,Crawford後も維持され得るかについて争いがある。したがって,Crawford後において,遮へい措置やビデオリンク方式を用いた証人尋問が許容される条件を見極めるためには,Crawfordの意義と影響について検討し,CoyとCraigの示した基準と共存し得るものであるかみていく必要があると思われる。  また,わが国でも,これらの措置を用いた証人尋問の合憲性について,証人審問権との関係で議論がなされてきた。証人審問権については,対決権と同様,面と向かっての対決をも含むとする見解もあるが,このように解した場合,わが国の遮へい措置及びビデオリンク方式を用いた証人尋問の合憲性を考えるうえで,アメリカにおける議論が参考になると思われる。そこで,本稿では,Coy及びCraigが示した基準が,Crawfordの判断枠組みの下でどのように考えられるかについて検討し,わが国における遮へい措置及びビデオリンク方式を用いた証人尋問の合憲性について考察する。

Journal

  • 比較法雑誌

    比較法雑誌 48 (4), 241-267, 2015-03-30

    日本比較法研究所

Details 詳細情報について

Report a problem

Back to top