ドイツにおける労働契約の期間設定の許容性

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タイトル別名
  • Zulässigkeit der Befristung von Arbeitsverträgen in Deutschland
  • ホンヤク ドイツ ニ オケル ロウドウ ケイヤク ノ キカン セッテイ ノ キョヨウセイ

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抄録

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本稿は、2013年2月19日に原著者であるBoecken教授(コンスタンツ大学)を招聘し行った講演の報告原稿の翻訳である。末尾には、理解を資するよう訳者による簡単な解説を付した。  本稿は、ドイツにおける有期労働契約法制のうち、期間設定の許容性について論じたものである。具体的には、労働契約に対する期間設定が、ドイツにおいては法律上許容されている場合でなければできないことを確認したうえで、原則である客観的理由(Sachgrund)に基づく期間設定、例外である客観的理由を欠く(sachgrundlos)期間設定、そしてその要式性や司法審査のあり方について、概説的に論じている。本稿の意義は、まず、単に法制度を平易に説明するにとどまらず、近時特に議論のある問題にも広く言及している点に見出せる。代理のための期間設定(Vertretungsbefristung)や連結の禁止(Anschlussverbot)に関する近時の問題については、若干ながら重点的に解説を加えておいた。  しかし我が国の状況に比するとき、もう1つ強調されなければならないのは、―それ自体真新しい発見ではないが―ドイツではあくまで期間設定に客観的理由を求めるという締結事由規制が原則であって、原則的な雇用形態としては期間の定めのない労働契約(無期労働契約)が念頭に置かれていることが、本稿でも改めて確認できる点であろう。

収録刊行物

  • 比較法雑誌

    比較法雑誌 47 (2), 133-155, 2013-09-30

    日本比較法研究所

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