ドイツ刑事判例研究(95) : 道路交通の危殆化(「追い越しの際の誤った運転」の概念)§315c Abs. 1 Nr. 2 lit. b StGB

抄録

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本事案においてドイツ連邦通常裁判所(BGH)は,被告人が制限速度の倍以上の速度で自動車を運転し,交差点前で停止しようとしている前方の車両を追い越すために右側車線に進入した際,その著しい高速度のせいで,折から同車線へと進路変更をしていた車両に気付くことができず,同車両と接触し,それにより被告人車両は制御不能に陥り,本件被害者に衝突してこれを死に至らしめた行為につき,§315c Abs. 1 Nr. 2 lit. b StGB道路交通の危殆化罪にいう「追い越しの際の誤った運転」にあたると判断した。  BGHは,その誤った運転が,追い越しに内在する危険性を高めているかを判断する「内的関連性」という基準に言及しており,先例としての参照価値は高い。

収録刊行物

  • 比較法雑誌

    比較法雑誌 51 (3), 235-247, 2017-12-30

    日本比較法研究所

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