中国における土地収用制度とその改善に向けた課題(2・完)

書誌事項

タイトル別名
  • Compulsory Acquisition of Land in China and the Problems Toward Its Realization (2)

抄録

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2004年憲法の改正をはじめ、土地管理法の改正(2004年)、物権法の制定(2007年)、国有土地上家屋徴収(収用)補償条例(2011年)の制定によって、中国の土地収用制度が徐々に改善されていっているのは事実である。しかし、現在の中国では、地方政府が、開発などの名目で、十分な補償もなく、都市の宅地や農民が請け負っている土地を強制的に取り上げる事例が少なくない。今後、上述の土地収用問題に対して、収用の範囲、補償、手続、救済などの面からその改善策を考えなければならない・具体的にいえば、第一には、中国の土地制度を改革し、土地使用権の売買を承認し、土地収用の範囲を「公共の利益」に限定すること。第二には、「適切補償」原則から「完全補償」原則に転換し、補償の範囲を拡大し、「年平均生産高」基準から「市場価格」基準に転換し、金銭補償以外の補償方式を増加すること。第三には、収用の手続を改善し、情報公開及び国民の参加を重視し、国民の知る権利、参加権、異議申立権を保障すること。第四には、行政訴訟という司法救済の手段を増加し、救済制度を改善することが求められているといえよう。さらに、中国では、土地管理法、物権法や国有土地上家屋徴収(収用)補償条例における土地収用に関する規定を取りまとめ、日本のように統一的な「土地収用法」を定立し、収用の範囲、補償、手続、救済の四つの面から規範の内容を整備する必要がある。

収録刊行物

  • 比較法雑誌

    比較法雑誌 47 (1), 75-117, 2013-06-30

    日本比較法研究所

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