バグダッド鉄道と石油資源―第一次世界大戦前の英独の石油資源をめぐる攻防―

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タイトル別名
  • Bagdad Railway and Oil Resources
  • バグダッド テツドウ ト セキユ シゲン : ダイイチジ セカイ タイセン マエ ノ エイドク ノ セキユ シゲン オ メグル コウボウ

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抄録

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一九一四年に勃発した第一次世界大戦は、覇権国家論の観点からみると、この戦争はイギリス帝国の覇権に対するドイツ帝国の挑戦であるというように捉えられるかもしれない。実際問題として、ドイツにおける一八九八年の艦隊法の制定以後に英独間で展開された建艦競争は、第一次世界大戦前における英独間の大きな対立点の一つであった。そして第一次世界大戦前の英独間のもう一つの対立点は、バグダッド鉄道建設と石油資源に関するものであった。当時、イギリスもドイツも自国内に石油資源を保有していなかったため、北メソポタミアの油田は両大国の利害関心の的となっていた。  第一次世界大戦前にイギリスとドイツは海軍における軍拡競争を展開していたが、その背後では石油資源をめぐって、攻防と協議が繰り広げられていた。大戦勃発とともにイギリスとドイツとの間の協議は最終的には失敗に終わった。「石油戦争」をめぐる問題は、第二次世界大戦においても、連合国と同盟国間での大きな対立点であり、今日においても、二〇〇三年のイラク戦争をめぐる問題に顕在化している。本稿は、第一次世界大戦前のバクダッド鉄道建設計画とメソポタミアの石油資源をめぐるイギリスとドイツとの攻防について検討するものである。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 121 (9・10), 473-498, 2015-03-10

    法学新報編集委員会

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