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タイトル別名
  • Der Notwehrexzess
  • コウエン カジョウ ボウエイ

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説明

本稿は,2013年6月20日に本学比較法研究所で行われたアウグスブルク大学ヘニング・ローゼナウ教授による,過剰防衛をテーマとした講演の翻訳である。わが国の刑法典36条2項に過剰防衛の規定がみられるのと同様に,ドイツにおいても過剰防衛が刑法典33条に規定されているが,その法的効果については,わが国のそれが任意的減免であるのに対して,ドイツではそもそも処罰がなされないと,興味深い相違を示している。さらに,ドイツにおいては明文上の要件として,行為者に,当該過剰防衛が「錯乱,恐怖又は驚愕」という心的虚弱による興奮状態(asthenischer Affekt)に基づくものであることを要求している。本稿は,過剰防衛者にそのような恩典が与えられる根拠と限界を,33条の法的性質を探求することで,明らかにしようとするものである。くわえて,若干の具体的問題,とくに事後的な量的過剰防衛,認識ある過剰防衛にも言及し,これは,正当防衛における量的過剰について近年,議論が盛んとなっているわが国の状況に照らしても,非常に示唆に富んだものである。

収録刊行物

  • 比較法雑誌

    比較法雑誌 47 (3), 1-22, 2013-12-30

    日本比較法研究所

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