『心の死』さまよえる少女ポーシャの地獄めぐり ―ヒロインの「場所の移動」を中心に考える―

書誌事項

タイトル別名
  • Wandering Girl in the Labyrinth or Hell in Elizabeth Bowen’s The Death of the Heart

説明

1938年に出版されたエリザベス・ボウエンの『心の死』には奇妙にも全く第二次大戦直前の社会状況に関する描写が全くといってよい程ない。ボウエンが少女の成長物語の枠を使いながら,第二次大戦直前にかかれたこの小説内で表現したかったものは何か。特にボウエンの多くの作品に登場する「居場所のない少女」の典型例でもあるこの作品のヒロイン,少女ポーシャの物理的・精神的な移動,漂流に焦点をあてたい。聖書で「魂を堕落させる」三つのものの名からなる,「世界,肉欲,悪魔」と題される三つの章を通して,ポーシャは常に精神的にもそして物理的にも漂流し,さまよい続ける。このヒロインの移動を通して,見えてくるものは何か?

収録刊行物

  • 人文研紀要

    人文研紀要 87 173-198, 2017-09-30

    中央大学人文科学研究所

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