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タイトル別名
  • Musik und Recht
  • ホンヤク オンガク ト ホウ

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抄録

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本稿は,Bernhard Großfeld, Musik und Recht, Zeitschrift für Vergleichende Rechtswissenschaft (ZVglRWiss) 109 (2010), S.379-396 の翻訳である。音楽は,文字や数字による情報の氾濫に翻弄されがちな現代において,文字に依らない不文の規律として,経験的な法的世界を形作る。人間の理性と感性を揺り起こし,人々の関係を基礎づける音楽とは,どのようなものか。ヨーロッパ,オーストラリア,ユダヤ法,アメリカ合衆国,それぞれの文化圏で──文字に頼らずに歌唱や楽器の鼓動や旋律による不文の法として──音楽が果たしている法的役割を比較する著者特有の学際的比較法研究の画期的な一篇である。  グロスフェルト教授の比較法の考え方には,異文化圏の人間(外国人,異業種の職業人)との出会いや交流が基礎にあり,人間の生活や人生から溢れ出るのが規律(すなわち法)であるとの理解があると思われる。  翻訳の末尾に解題として付した「グロスフェルト教授の『比較法』と『国際交流』──ミュンスター交流裏史──」は,同教授の比較法の考え方や法比較の実践方法を理解するための補助的な素材として,私的な交流を記すものである。とりわけ,中央大学の山内惟介教授とグロスフェルト教授の出会いと交流は,その後の中央大学・ミュンスター大学間の交流協定のための起点となり,長きにわたる両大学間の学術的交歓を基礎づけたことから,歴史的な意義があると考える。また,グロスフェルト教授が夫人とともに外国人研究者や留学生を自宅や郊外の歴史的場所に招き,地理的条件による差異についての視座を経験的に教え諭すのはなぜなのか,聴き取りで得られた私的な話を記録に残し,比較法研究の方法論を検討するための素材を提供する。

収録刊行物

  • 比較法雑誌

    比較法雑誌 50 (2), 209-260, 2016-09-30

    日本比較法研究所

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