「セクストゥス」という形象

抄録

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『弁神論』の締めくくりにおかれたセクストゥス・タルクィヌスの物語をとりあげて考察する。ライプニッツは「仮定的必然性」という言葉で自由を説明しようとする。世界に宿命や完全な必然性はないが,生じることは「確実」である。神はそれを決定しているが,われわれはそれを自由に行っている。こうした説明では,どうみても自由があるとは思われない。そこで,このような窮屈な自由が発生する根源として,「不共可能性」というライプニッツの概念を考察する。この概念は自由を代償としながら,世界をこれ以上ないほど詳細に説明可能にする,というライプニッツ独自のものである。そのうえで,セクストゥスの物語は,この不共可能性をべつの視点からいわばアレゴリー的に汲みつくすものであることを示したいと思う

収録刊行物

  • 人文研紀要

    人文研紀要 77 1-18, 2013-10-10

    中央大学人文科学研究所

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