我が国におけるパーソナル・ヘルス・レコード(PHR)の定義に関するレビュー

書誌事項

タイトル別名
  • A systematic review on definitions of Personal Health Record (PHR) in Japan
  • ワガクニ ニ オケル パーソナル ・ ヘルス ・ レコード(PHR)ノ テイギ ニ カンスル レビュー

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説明

パーソナル・ヘルス・レコード(PHR)は,患者が自らの医療健康情報にアクセス,管理,共有することを可能にする仕組みである.また,PHRは協働の医療を促進し,医療や看護(介護)の質と効率化を改善する強力なツールやプラットフォームとしての期待も高い.しかしPHRは我が国に於いて未だ端緒に着いたばかりであり,その用語は様々な利害関係者により,広くまた異なった文脈で用いられており,PHRは明確に定義付け,或いは共通の指針として成文化されるまでには至っていない.この研究は,我が国の現状とあるべきPHRモデルについて,国際比較の視点も踏まえ,その定義を検証する. まず,筆者らは複数の研究論文データベースからキーワード検索によりPHRに関する論文を抽出し,レビューを行った.次に,整理の方法として,PHR国際比較基準を用い,その基準に照らし合わせて再整理し検証した.加えて,政府の提唱する日本版PHRである「どこでもMY病院」5カ年構想についても同様の比較基準で検証した.結果として,まず論文レビューについては「システムの接続性,独立性」と「患者中心の思想設計」が要件として過半の論文において考慮されていなかった.次に「どこでもMY病院構想」の内容についても,上記の2項目に加えて「患者の生涯継続保持」の思想と要件が欠落していた.結論として,諸外国との医療領域における背景の違いは考慮しながら,どこでもMY病院構想はもとより,PHRの定義として患者中心の思想,設計に即した形で,患者が自らの医療健康情報を生涯保持,アクセス,或いは活用する為の合意形成が必要である.

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