現代西欧における社会経済の再組織化 : ゲルマン的団体から「社会国家」へ

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タイトル別名
  • ゲンダイ セイオウ ニ オケル シャカイ ケイザイ ノ サイソシキカ : ゲルマンテキ ダンタイ カラ 「 シャカイ コッカ 」 エ
  • The Reorganization of Social Economy in Present Western Europe From Germanic Association to "Social State"

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抄録

かつての西欧社会では、人々が相互に協力して協同し合うゲルマン的団体法を基礎とした「社会保険の思想」が生活と一体となってさまざまな<社会的なるもの>をカバーしていたが、近代国民国家の誕生以降、個人の自由を保障する社会保障へと変化し、最終的にはすべての<社会的なるもの>を国家が担うという巨大な「社会国家」を誕生させてしまった。この背景には、工業経済や市場経済、貨幣経済の発展とともに、「共」と「協」の原理を解体させながら「個人」原則を基本としてきたことが大きな意味を持つ。つまり、それまで「共」や「協」の領域に<社会的なるもの>が埋め込まれていたが、これらが切り離され、まずは「個人」の責任とされ、「個人」の自己責任に限界がきたときには、すべての社会問題が国家の責任として考えられた。いまや、この「社会国家」はますます巨大化し、財政問題を筆頭に、もはや国家自体が破綻しようとしている。現在の先進諸国における大失業問題や少子高齢化における介護・医療・年金問題は、単なる組織づくりだけでは根本的な解決には至らない。そこで、本来の人々の生活全体から配慮し直すことが不可欠となってくる。したがって、本来の生活における<社会的なるもの>が埋め込まれたかたちで社会経済の再組織化を現代において再吟味しなければならないと思われる。

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