摩擦的な市場における戦略提示均衡とその経済厚生

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  • マサツテキナ シジョウ ニ オケル センリャク テイジ キンコウ ト ソノ ケイザイ コウセイ
  • Strategy Posting Equilibrium and its Welfare

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抄録

この論文では、二つのグループのメンバーが、事前に投資を行った後に自分のパートナーを見つけるという問題を考察しており、特に、自分が投資した内容に応じてマッチングの機会が異なる場合、どのような均衡が発生するかを分析している。Acemoglu and Shimer (1999)は、企業が提示する賃金に応じてマッチングの場所が異なる状況(Wage Posting)を考察し、効率的な均衡に到達することを導いている。しかしながら、個人の効用が移転可能(Transferable Utility)であるか、企業が賃金の支払いを確約できなければ、こうした賃金の提示による均衡を導くことはできず、結婚モデルのように効用が移転不可能(Non-transferable)な状況の下では異なる分析が必要である。そこで本論文では、個人が自分のパートナーを探すに当たって、(企業の提示した賃金ではなく)自分の投資した内容に応じてマッチングの場が異なる状況を考察した(例えば、個人の教育水準に応じてマッチングの場が異なるような状況が考察の対象となる)。その結果、Wage Postingの状況とは異なり、均衡では、効率的な資源配分の他に、二つのタイプの非効率な資源配分が存在することを示す。一つ目は、通常のコーディネーションの失敗に基づくものである。二つ目は、パートナーを探すのに摩擦が存在するために生じるものである。特に二つ目の非効率な資源配分においては、多くの個人がより良い相手を探す場所に向かってしまうため混雑度が上昇し、その結果、相手を見つける確率を著しく下げてしまうために非効率性が発生する。

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