近世琉球の政治構造について―言上写・僉議・規模帳等を中心に―

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Other Title
  • The Political Structure of the Premodern Ryukyu Kingdom

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近世琉球(1609-1879年)の内政構造を検討する前提として、国際関係上の琉球国の特徴として、中国・日本に対する外交認識(「唐・大和の御取り合い」)や琉球の二重朝貢形態を概括した。そして、内政構造を捉える上で、国王への申請(言上)とその許可を示す「言上写」(下達文書)を取り上げた。「言上写」は諸役人の役職の交替・任命などの人事、爵位の叙爵、知行(俸給)、さらに琉球王府の年中祭祀・儀礼など、広範囲に及ぶ日常業務の執行要請も上申された。琉球王府の国政に関する審議機関は、表十五人衆であった。彼らの上役である摂政・三司官への答申は、「僉議」と呼ばれた。 表十五人衆の僉議は、合議による上申が前提であったが、見解が分かれる場合もあった。その場合には、摂政・三司官の判断によって特定の僉議が国王へ上申された。国王の決済・許可を得て初めて執行することが可能となる政治構造になっていたのである。また、地方や遠隔離島に対する統一した統治方針は、18世紀初頭から明瞭となる。その規範文書となったのは、「間切公事帳」(沖縄島の地方)と宮古・八重山島への検使による「規模帳」であった。

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