戦後日本の資本蓄積と負債比率

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  • センゴ ニホン ノ シホン チクセキ ト フサイ ヒリツ
  • Capital Accumulation and Debt-Asset Ratio since 1960 in Japan

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抄録

本稿は、戦後日本における負債比率(=負債/資産)の推移を資本蓄積との関係で観察する。負債比率は、総資本(資産)営業利益率と自己資本営業利益率を定義的に繋ぐ重要変数であるだけでなく、負債比率と資本蓄積には双方向の因果関係がある。資本蓄積から負債比率への資金調達を経由した正の因果関係、及び負債比率から資本蓄積への投資関数を経由した負の因果関係である。この側面を意識しつつ、少し立ち入って観察する。資本蓄積率と負債比率には、確かに全期間では順行関係が確かめられるが、短期変動の対応はよくない。むしろ固定負債率(=固定負債/負債)と資本蓄積率の逆行関係が、鮮やかに浮上する。また資本蓄積率を被説明変数とし、負債比率を始め資本利益率、等を説明変数とする回帰分析の基本的統計量を紹介し、あるいは資本蓄積率と負債比率、等に関するグレンジャ-の因果性検定の結果を紹介する。全体として資本利益率の資本蓄積率への大きな影響、及び資本蓄積率の固定負債率への大きな影響は確かめられるが、負債比率から資本蓄積率への負の因果関係を強く支える状況証拠は観察されない。前二者は既成観念を補強する。しかし後者もよく考えれば、ある意味で自然な結果であり、当該問題を考える際の時間差(ラグ)の重要性を示唆していると理解できる。

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