ピグー『失業の理論』を巡って

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タイトル別名
  • ピグー シツギョウ ノ リロン オ メグッテ
  • On Piggu's "Theory of Umemployment"

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説明

ピグーの『失業の理論』は、ケインズ『一般理論』において厳しい批判を受けることになった。ケインズの諸批判のうち、本論においては主に二つの批判点を対象にする。ひとつは、労働供給関数に関するものである。この点については、今日の時点からすればケインズの批判は正鵠をえていない。しかし、1936年の段階で言えば、ピグーの著書は労働供給関数についての明確な説明を欠いていたことも確かである。もう一つは、投資の乗数効果に関するものである。投資が乗数効果をもつかどうかは、マクロ経済に関する理論的な枠組みに依存する。「古典派」的な枠組みに基づくピグーの考え方に従えば、乗数効果はゼロであるとするピグーの主張は論理的に正しい。しかし、同じく「古典派」的な仮定であっても、消費関数の如何によっては乗数効果は有効であるという結論も導ける。最後に、ケインズ自身はピグーの「仮定」として受容しているものであるが、それはピグーにとっては「不要な仮定」(と私が思うもの) について取り上げる。

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