新しい社会的リスクと社会的投資国家

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  • アタラシイ シャカイテキ リスク ト シャカイテキ トウシ コッカ
  • New social risks and social investment state

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抄録

ポスト工業社会への移行にともなう経済的社会的変化の結果として、新しい社会的リスクが生まれている。新しい社会的リスクには、大きく分けると、技術の急速な陳腐化や非典型的雇用形態の増加といった労働市場の変化に関連するリスク、仕事と家庭生活の両立の難しさや離婚、結婚の減少、片親家族といった家族の変化に関連するリスクがある。ヨーロッパでは、新しいリスクに自己責任で対応することを求める新自由主義的競争国家論に対抗して、人びとの人的資本(就労可能性)や子供の教育・ケアへの投資を国家の新しい役割として主張する社会的投資国家論が1990 年代末から展開されてきた。社会的投資国家論には、いまここでの平等ではなくライフチャンスの平等を主張するエスピン?アンデルセンたちの主張と、市場競争の前提条件としての機会の平等を強調する第三の道(ギデンズ、ブレアたち)の主張がある。EU 加盟国の実際の積極労働市場政策の中身を点検すれば、社会的投資の割合は減少傾向にあり、代わって直接的な就労支援のためのアクティベーション政策が重視されていることが分かる。それゆえ、萌芽状態にある社会的投資国家は危機に瀕していると言えるだろう。

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