初年次教育と高校における特別活動

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  • ハツ ネンジ キョウイク ト コウコウ ニ オケル トクベツ カツドウ

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抄録

現在、初年次教育においては高大接続の必要が指摘されている。初年次教育の目的である「能動的で自律的な学習態度への転換」と「人間関係の構築」という課題をクリアするためには、「自己指導力」と「人間関係形成力」などの能力が必要であると考えられるが、これらの能力の育成に高校における活動や経験はどのように関わっているのだろうか。本稿は高校の教育課程、中でもこれらの能力の育成を目標とする「特別活動」が、初年次教育で獲得が期待される能力の形成にどの程度影響を与えうるかを考察するものである。  分析は関西地方の3つの大学の1年生を対象に行った調査データ(316ケース)を用いて行った。「高校での特別活動などの経験」15項目と「大学生活の自己評価」7項目の間での相関係数を調べ、1%水準で有意な相関関係7組を見出した。この7組についてさらに家庭環境(「実家には本がたくさんある」 かどうか)を統制した上で相関分析を行い、解釈を検討した。  結果、①高校で学校行事に積極的に取り組むことが人間関係形成力を高める上で役立つこと、②委員会活動に積極的に取り組むことが自主的な学習を進める力を獲得する上では有効であること、③ホームルームで学校で起こった問題について話し合うことも大学生活をスムーズに進める上で役立つことがわかった。また、修学旅行や文化祭など学校行事について生徒自身が企画にすることは、生徒の自主性を育むと予想されるが、それが自主的な学習態度を身につけることにつながるかは、学生の家庭環境次第である可能性も示された。

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