レッシングの文学・芸術論(その3)

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  • レッシングの文学・芸術論(その三)
  • レッシング ノ ブンガク ゲイジュツロン ソノ 3

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劇は一つの独立した精神世界であり、登場人物の性格と動機に矛盾があってはならず、信念も性格に合致しなければならない。つまり、「この性格は、この状況にあって、この情熱にとりつかれていては、それ以外に判断できなかったと認めざるを得ないように」創作しなければならない。それゆえ、宗教劇も不可能ではないが、必然性を超越した奇跡、殉教、恩寵等々、宗教の様々な属性は真の悲劇の創作を極めて困難なものにしている。キリスト教徒の柔和な心も情熱を喚起する上で、適さないであろう。これが「芸術 (劇) と宗教」でレッシングが展開する主な内容である。偉大な人物に対しては、まず学ぶ謙虚さが必要であり、矛盾があると考えた場合も、彼の体系の全連関の中で、その矛盾を解明しなければならないこと、批評は形式よりも本質を問題にすること、啓蒙や道徳の解説や確証のために劇の筋を構成することは必要ないこと、善悪の報いも事態の必然的連鎖のなかに位置付ける必要があるということが「啓蒙としての芸術 (批評)、芸術批評の啓蒙精神」である。「寓話論」では、悟性を相手に普遍的な道徳的命題を直観させる寓話は筋と筋の展開の媒介である人物の運命に無関心であり、心を相手に情熱を喚起する劇は筋の完全性が必要であり、登場人物の運命が関心事であって、特定の教訓を目的としない、というジャンルの本質的相違が述べられる。

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