剣道のバイメカニクス的研究 : 第5報 面すり上げ面における打太刀と仕太刀の対応動作の関係

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抄録

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本研究は、打突における「後の先」の機会である面すり上げ面を対象として、仕太刀の動作開始時間、動作時間、右上肢関節角度、竹刀角度、竹刀先端速度を指標とし、熟練者群と未熟練者群の相違点を検討した。その結果、熟練者群では①打太刀の振り下ろし動作直後に振り上げ動作を開始するため動作開始時間が遅延する、②振り上げ動作過程の中で円滑なすり上げ動作を行うためすり上げ前時間が短縮する、③振り下ろし速度が大きいため動作時間が短縮するなどの結果を示し、未熟練者群では①打太刀の振り上げ動作中に振り上げ動作を開始するため動作開始時間が早まる、②振り上げ動作を一時停滞させたすり上げ動作であるためすり上げ前動作時間が延長する、③振り下ろし速度が小さいため動作時間が延長するなどの結果を得た。以上のことから、熟練者群では打太刀の振り下ろし動作開始にタイミングを合致させた円滑なすり上げ動作による面打撃が可能であり、未熟練者群では振り上げ動作を開始するタイミングが早く、この時間的調節のためにすり上げ動作を一時停滞させ、円滑なすり上げ動作を行うことが困難になることが明らかにされた。

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