『集古録』をめぐる人々

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  • 『 シュウ コ ロク 』 オ メグル ヒトビト

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抄録

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金石学の成果のうち現存する最初期のものとして知られる北宋・歐陽脩『集古録跋尾』十巻は、歐陽脩の金石蒐集の状況と、その目的である歴史および文学テクストまた書法のより精確な考証が、どのように行われているのかを詳細に記録している。歐陽脩のこのような金石蒐集と考証は、彼の周囲に存在していた、金石に関心を持ちその蒐集や考証を行っていた多くの友人たちの協力を得て生み出されたものである。しかし、長期間に及ぶ蒐集の過程で、それらの友人たちのなかには世を去る者が次第に増え、また金石にも時間の経過のなかで傷み失われるものがあり、そのような状況を受けて、歐陽脩は『集古録跋尾』所収の跋文のなかで、人と金石それぞれの有限性についてしばしば思いをめぐらせている。歐陽脩と彼の友人たちの金石蒐集は、その後の世代の孫覺や李公麟による金石蒐集に継承され、さらに北宋末期には、徽宗編の『宣和殿博古圖』や張明誠の『金石録』という成果を生むに至った。また、『集古録跋尾』のなかで歐陽脩が述べていた人と金石それぞれの有限性について思いは、任官の初期に歐陽脩の金石蒐集に関わった蘇軾に影響を与え、その後彼によって深く思考され、その詩文の中で様々に表現されていくことになった。

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