三角形の合同条件に関する史的考察(4) : 1872年(明治5年)から1902年(明治35年)にかけての小学校の高等科を対象にして

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説明

本稿は、拙稿(1)(2)(3)の続きにあたるもので、1872年(明治5年)から1902年(明治35年)にかけて小学校の高等科を対象に、幾何の教科書の三角形の合同条件の証明方法及びその取り扱い方を考察したものである。その結果1つは、教科書によって、合同条件の証明だけを扱っているもの・証明はせず合同条件だけを提示しているもの・三角形の作図法だけを扱っているもの・合同条件の証明と三角形の作図法共に扱っているものと様々であったこと。2つ目は合同条件の証明を行っている場合、その殆どがSAS型・ASA型の証明は重ね合わせの原理を利用し、SSS型の証明は二等辺三角形を利用し「2辺夾角相等」に帰着させ証明していること。そして「合同」ということばは使われておらず、「同形同積」「相互に等しい」「相等しい」「同形」「全ク相等シ」「均同」など表現が様々であったこと。3つ目は、三角形の作図法を扱う場合、SAS型・ASA型・SSS型の3つすべてを扱っているとは限らず、教科書によってまちまちであったことなどが明かになった。

収録刊行物

  • 数学教育研究

    数学教育研究 28 73-84, 1998-01-01

    大阪教育大学数学教室

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