未完結文の使用における語用論的条件

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タイトル別名
  • The pragmatic preconditions in insubordination
  • ミカンケツブン ノ シヨウ ニ オケル ゴヨウロンテキ ジョウケン

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抄録

本稿は,語用論という観点から,接続助詞で終わる未完結文の典型的なパターンを中心に,外的要素と内的要素に分けて未完結文の使用にどういう制約があるのかを考察する。まず,伝達の媒体(話し言葉と書き言葉の違い)における未完結文の使用を明確にする。未完結文は文法形式上に不完全であるので,書き言葉では使用しづらいと予測される。そして,話し言葉に限定した上で,未完結文が公的な場面で使用しづらいという仮説を以って,発話の公式度に関与する要素を明らかにする。言葉という文法形式を基準として考えるなら,発話に関わる要素は大きく内的要素と外的要素の二種類に分けて考えられるので,本稿は外的要素(「聞き手の性質」や「社会的な人間関係」「心理的な人間関係」からなる)と内的要素(「発話の内容」)に分けて発話の公式度との関係を考える。最後に,実際の使用状況に基づき,本稿は「ので/んで」「から」「たら」「ば」「と」「のに」「が/けど」「し」「て」を対象として,テレビドラマを中心に,ランダムに131個の未完結文を抽出し,「発話の内容」「発話場所」「潜在的聞き手の存否」「社会的な人間関係」の四つの項目に分け,個々の表現に現れる特徴を分析し,各要素の間にある関係を明確にする。

収録刊行物

  • 研究論集

    研究論集 14 143-160, 2014-12-20

    北海道大学文学研究科

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