集団同一視が自己評価基準や自己説明に及ぼす影響

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  • シュウダン ドウイツシ ガ ジコ ヒョウカ キジュン ヤ ジコ セツメイ ニ オヨボス エイキョウ
  • Influences of group identification on self-evaluation and self-introduction.

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抄録

本研究では,集団成員イメージの評価と個人の自己評価との関連(質問紙1),自己説明と集団同一視の程度との関連(質問紙2)を検討した。大学生と専門学校生285名を対象に,質問紙1では,価値 判断を伴う9項目の性格特性に関する形容詞対(価値形容詞対),価値判断を伴わない4項目の形容詞 対(非価値形容詞対)を用いて,好ましい(あるいは好ましくない)成員イメージ評価,及び自己評 価を測定した。質問紙2では,3因子12項目の集団同一視尺度(Karasawa, 1991)と,自己を説明する上で所属集団の効果(役割)を問う「現在のあなた自身を説明する上で,今○○という集団に所属していることが,どのくらい重要だといえますか?」という質問に対する回答を求めた。その結果,価値形容詞対では自己評価と好ましい成員イメージ評価との間に6項目で正の相関が,好ましくない成員イメージ評価との間でも5項目で負の相関が認められた。非価値形容詞対でも自己評価と好ましい成員イメージ評価との間の全項目で正の相関,好ましくない成員イメージ評価では一部の項目で負の相関がみられ,自己評価の基準を集団の成員イメージ評価へ準拠させることが示唆された。また自己説明における所属集団の効果の得点を高低群にわけて集団同一視の得点差を検討したところ,集団同一視に含まれる全ての因子において高群の集団同一視得点が高かった。さらに回帰分析で調べたところ,特に集団同一視尺度における所属集団への直接的な愛着を示す因子に強い影響を与えていたことが判明した。

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