腎盂尿管移行部に発生した炎症性偽腫瘍の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case report of inflammatory pseudotumor that occurred at the ureteropelvic junction
  • ジンウ ニョウカン イコウブ ニ ハッセイシタ エンショウセイ ギシュヨウ ノ 1レイ

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説明

60歳女。患者は左腰背部痛を主訴とした。CTで左水腎症, 左尿管拡張を認め, 諸検査から後腹膜線維症も疑われたが, 尿細胞診はIIIaであり, 不整に造影される画像所見等や異常血管等も認められないことから否定的であった。しかし, 左腎盂から尿管の悪性疾患も否定できず, 患者の希望もあって生検は施行せずに左腎尿管摘出術が行われた。その結果, 腎盂から尿管にかけて長さ4cmの硬い腫瘤があり, 尿管癌が疑われた。一方, 腎実質等周囲への浸潤はみられず, 病理組織学的所見でも炎症性偽腫瘍に特徴的な紡錘細胞ははっきりみられなかったが, 炎症性細胞浸潤やリンパ濾胞形成等の炎症所見は認められ, その修復過程でできた腫瘍と考えられた。以上より, 本症例は腎盂から尿管にかけて発生した炎症性偽腫瘍と診断され, 発生部位が上部尿路であったこともあり, 本疾患に特徴的なanaplastic lymphoma kinase蛋白の発現は得られなかった。尚, 炎症性偽腫瘍が腎盂, 尿管に発生した症例は稀で, 検索した限り我が国では17例の報告が確認されるのみである。

収録刊行物

  • 泌尿器科紀要

    泌尿器科紀要 54 (11), 737-740, 2008-11

    泌尿器科紀要刊行会

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