平衡超伝導電流に働くローレンツ力とそのホール係数

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  • 平衡超伝導電流に働くローレンツ力とそのホール係数(<シリーズ>超伝導・超流動研究の接点)
  • ヘイコウ チョウデンドウ デンリュウ ニ ハタラク ローレンツリョク ト ソノ ホール ケイスウ

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荷電粒子に働くローレンツ力は自然界における基本的な力の一つであり,金属や半導体ではホール効果を引き起こす。しかし,超伝導状態のローレンツ力とそれが引き起こす効果については未解明の点が多い。この理由の一つとして,標準的なギンツブルグ-ランダウ方程式とアイレンバーガー方程式においてローレンツ力が欠落していることが挙げられる。ここでは,ローレンツ力を適切に取り込むように拡張したアイレンバーガー方程式を用いて,熱平衡超伝導電流のホール係数を理論的に計算した結果を報告する。ローレンツ力は巨視的反磁性電流である超伝導電流に対しても働き,それを相殺するホール電場を超伝導体内に誘起する。対応する熱平衡ホール係数の理論的表式を,フェルミ面とエネルギー・ギャップの異方性を同時に考慮して導出した。それによると,有限温度で芳田関数を通して現れる準粒子励起の異方性によりホール係数は温度の関数として変化し,顕著な場合には符号を変えることもある。この熱平衡ホール係数の符号反転は,高温超伝導体などで観測できる可能性がある。

Journal

  • 物性研究

    物性研究 92 (5-6), 428-437, 2009-08-20

    物性研究刊行会

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