木竹酢液のウイルス不活化物質の探索
書誌事項
- タイトル別名
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- Screening and identification of virus inactivators from wood and bamboo pyroligneous acids
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説明
地球温暖化や輸送手段の広域・高速化により、 人畜に有害な病原体が広汎かつ迅速に伝播していることは大きな社会問題の一つとなっている。 本研究では、 再生産可能な木質・森林バイオマスの変換により人の健康や生活に寄与する有用な物質を生産するという新しい研究領域を開拓することを目的とし、 木竹酢液の抗ウイルス活性について検討を進めている。 木竹酢液は、 木竹炭を製造する際に副次的に得られ、 セルロース、 ヘミセルロースおよびリグニンの熱分解生成物などを含有する。 木竹酢液は殺菌をはじめとする様々な生理活性を有することが報告されており、 ウイルスなどの病原体の駆除にも有用なバイオマスである可能性が考えられるが、 木竹酢液の抗ウイルス活性については十分な科学的根拠が示されているとは言い難い。 本研究では、 近年、 日本や韓国をはじめとして各国で猛威をふるっている口蹄疫ウイルスなどに対する消毒薬を木竹酢液から生産することを視野に入れて、 木竹酢液の抗ウイルス活性試験を行い、 木竹酢液の消毒薬への応用の可能性と木竹酢液に含有される抗ウイルス活性物質の探索を行った。 平成23年度は、 口蹄疫ウイルスと同じピコルナウイルス科に属する脳心筋炎ウイルスEMCVを用いて、 竹酢液の抗ウイルス活性成分などを解析した。 即ち、 竹酢液のウイルス不活化活性を示す部分精製物の主要構成成分をすべて明らかにして、 化学合成品を用いてウイルス不活化活性フラクションを再現した。 さらに、 再構築した成分再現液から一成分を除く方法により、 ウイルス不活化活性に影響を与える化合物を解析し、 ウイルス不活化にフェノールが大きく関与していることを明らかにした。 また、 フェノール単独のウイルス不活化活性が、 部分精製物の活性より低いことから、 フェノールと相乗的にウイルス不活化活性を高める物質の存在を明らかにし、 酢酸がフェノールのウイルス不活化活性を増強することを示した1)。
収録刊行物
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- 生存圏研究
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生存圏研究 8 49-54, 2013-02-10
京都大学生存圏研究所
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050282810765449856
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- NII書誌ID
- AA12127944
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- ISSN
- 1880649X
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- HANDLE
- 2433/184861
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB