和歌山県下のモミ・ツガ天然林の大型土壌動物相

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タイトル別名
  • Soil Macro-Animals in a Mixed Stand of Fir and Hemlock in Wakayama Prefecture
  • ワカヤマ ケンカ ノ モミ ツガ テンネンリン ノ オオガタ ドジョウ ドウブツソウ

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抄録

大型土壌動物の調査を1969年5月, 8月, 11月の年3回, 和歌山県下の京都大学和歌山演習林のモミ・ツガ混交天然林で行なった。主要な大型土壌動物はミミズ, ヤスデ, イシムカデ, ジムカデ, クモ, ハサミコムシ, コメツキムシ, アリ, 双翅類であったが, 個体数, 現存量は5月に最も大きく, 68. 3, 3. 0g/50cm×50cm, 8月に57. 4, 1. 5g, 11月に最も少なくなって, 53. 6, 1. 0gであった。(表1) この現存量の急激な減少は, 個体数があまり減少しないことが示すように, 動物全体の減少ではなく, ミミズ類の減少によるものである。モミ・ツガ混交天然林の大型土壌動物の個体数, 現存量, とくに, 現存量の値は亜寒帯針葉樹林 (オオシラビソ, コメツガ林) と温帯落葉広葉樹林 (ブナ, ミズナラ林) の中間に位置する。大型土壌動物は深さとともに減少し, 20cm以下にはきわめて少ない。しかし, 5月には40cm以下からは全く出現しなかったのに, 8月, 11月には40cm以下にも, わずかに分布していた。大型土壌動物のうち, ミミズ, ヤスデ, イシムカデ, 双翅類は落葉層および土壌表層に, ジムカデ, ハサミコムシ, コメツキムシは主として土壌中に生息する。アリ類は落葉層, 土壌中どちらにも生息する。現在までに調らべられた各種の森林における大型土壌動物の現存量とA_o層量との関係をみると, A_o層量の多い森林ほど, 現存量は小さく, A_o層量の少ない森林に現存量は大きい (図5)。このことはA_o層の分解率の大きい森林ほど大型土壌動物の現存量の大きいことを示している (図6)。本報のモミ, ツガ林のA_o層の平均分解率, 大型土壌動物の現存量は亜寒帯針葉樹林と温帯落葉広葉樹林の中間の値であった。

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