地球温暖化防止に向けた国際会議における森林の取り扱い : 気候変動枠組条約の準備交渉から京都議定書の作成まで

書誌事項

タイトル別名
  • Forest in international discussion of global warming : From preparation of Framework Conference on Climate Change to adoption of Kyoto Protocol
  • チキュウ オンダンカ ボウシ ニ ムケタコクサイ カイギ ニ オケル シンリン ノ トリアツカイ キコウ ヘンドウ ワクグミ ジョウヤク ノ ジュンビ コウショウ カラ キョウト ギテイショ ノ サクセイ マデ

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抄録

本論文では、気候変動枠組条約の交渉準備段階から変化してきた森林の位置づけと役割、京都議定書の条文が及ぼす森林管理や温暖化への影響を分析した。IPCCが第1回評価報告書で森林の役割を明記した結果、枠組条約の政府間交渉では北欧諸国が吸収源として主張した。にもかかわらず、科学的な不確実性がまだあったことから、気候変動枠組条約の条文にはバイオマスの一部として森林は扱われた。その後、数値目標を議論するAGBMで、科学的な知見の積み重ねによって吸収源は森林とみなされるようになり、締約国は炭素排出量の計算手法としてネット方式やグロス方式を提示した。森林蓄積の増分が化石燃料起源の炭素排出量に占める比率の高い国は、吸収を差し引くネット方式を支持する傾向にあった。京都議定書の第3条は、政治的な判断で定められ、IPCCでの研究成果は一部しか反映されなかった。新規植林を炭素の吸収源とみなすと、森林における生物多様性が損なわれる可能性があるなどの問題が生じる。条約関係者は、各国の意見の違いを踏まえた上で、科学的知見に基づいたより効果的な温暖化防止策を話し合うことが求められる。

収録刊行物

  • 森林研究

    森林研究 71 45-53, 1999-12-28

    京都大学大学院農学研究科附属演習林

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