芦生上谷流域の植物多様性と群集構造 : トランセクトネットワークによる植物群集と希少植物の検出

  • 阪口, 翔太
    京都大学大学院農学研究科 森林科学専攻
  • 藤木, 大介
    兵庫県立大学 自然・環境科学研究所 ; 兵庫県森林動物研究センター
  • 井上, みずき
    秋田県立大学生物資源学部 生物環境科学科
  • 高柳, 敦
    京都大学大学院農学研究科 森林科学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Plant species diversity and community structure of old-growth beech forest in Kamitani, Ashiu, Kyoto : Community structure and endangered plant species detected by gradsect networks
  • アシウ カミタニ リュウイキ ノ ショクブツ タヨウセイ ト グンシュウ コウゾウ トランセクト ネットワーク ニ ヨル ショクブツ グンシュウ ト キショウ ショクブツ ノ ケンシュツ

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抄録

京都大学芦生研究林の北東部に位置する上谷流域の天然林において, 集水域スケールでの植物群集構造と植物多様性, 希少植物の分布状況について調査を行った.その結果, 芦生上谷流域には4つの植物群集単位を認めるのが適当であること, それらの群集が地形要因によって規定され, モザイク状に分布しているというのが本地域の植物群集構造の特徴であることが明らかにされた.植物多様性については, 尾根地形に出現する群集よりも谷地形に出現する群集で種多様性が高く, とくに森林下層空間に生育している草本種やシダ植物種が豊富であることが明らかとなった.また, 着生種を含む24種のレッドデータブック記載種を確認することができた.近年, 芦生研究林ではニホンジカによる下層植生の改変やカシノナガキクイムシによるミズナラ大径木の集団枯損が発生しており, 前者は植物多様性や植物群集組成に対して, また後者は希少着生植物相に負の影響をもたらすことが懸念される.

特集 : ニホンジカの森林生態系へのインパクト: 芦生研究林

収録刊行物

  • 森林研究

    森林研究 77 43-61, 2008-12-26

    京都大学フィールド科学教育研究センター森林生物圏部門

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